【長期保存できる写真・できない写真】
― 現像済み白黒写真の適切な処理の判定 ― 研究会白黒写真部会


2. 現像処理の流れ
 撮影済みのフィルムや露光済みの印画紙は、現像処理に回されます。現像処理のうち、画像の長期保存に影響を与える工程は、定着および水洗工程です。

 定着は、現像後にフィルムや印画紙に残った不要な(=光が当たっていない)「ハロゲン化銀」を定着液中に溶解させます。
▲定着不足のネガフィルム
画像の中心に現れた黄変
(画像左の丸い褐色は滴下テストによる)
…もし定着が不十分になると?
フィルムや印画紙にはハロゲン化銀が
残ったままの状態になります。
 定着が済んだフィルムや印画紙には、多量の定着液が染み込んでいます。それを洗い流すのが、次の水洗工程の役割です。    
…もし水洗が不足すると?
定着液の成分である「ハイポ」が、
フィルムや印画紙の中に残留します。


 フィルムや印画紙に残ったハロゲン化銀は、変質しやすい性格のため、時間が経過すると黄色い“しみ”へと変化してしまいます。 またハイポは、本来の黒い銀画像を黄褐色〜黄色へと「黄変」させ、薄くしてしまいます。
 したがって、
ハロゲン化銀が残留しているかどうかを調べることで定着処理の適不適を
ハイポが残留しているかどうかを調べることで水洗処理の適不適を
判定することが必要になってきます。ところが、ハロゲン化銀もハイポも、残留しているかどうかは見た目にはわかりません。そこで、次のようなテストをすることによって、判断することができるようになります。