【長期保存できる写真・できない写真】
― 現像済み白黒写真の適切な処理の判定 ― 研究会白黒写真部会
1. 白黒写真の仕組み
 未感光の白黒フィルムや白黒印画紙には、感光剤としてのハロゲン化銀が含まれています。このハロゲン化銀は、光が当たりなおかつ現像液と反応することによって、黒化した金属銀へと変わります。光が当たらなかったハロゲン化銀は、定着液によって除去されます。

 フィルムであっても印画紙であっても、画像上の黒い部分は、その黒化した金属銀によって形成されています。ハロゲン化銀が変化しやすい性質なのに対し、この金属銀は堅牢なもので、それゆえ長期保存性に優れるという大きな利点があります。

 しかし実際には、定着とその次の水洗の二つの工程が適切に行なわれていないと、長期保存を実現させることはできません。

 それでは、この 定着 と 水洗 の役割を、もう少し詳しく見ていきましょう。
   
写真 画像を構成する金属銀の粒子
(コダック出版物TSC-263
『粒状性と解像度の知識』1989年
 より転載)