・    レンズは長時間使用しないとシャッターが粘り正確なシャッタースピードが得られないことがある。このようなことが起こらないためにも、使用しない間もこまめに空シャッターを切りトラブル防止に気を付ける。空シャッターはシャッタースピードを順に変えて切ると良い。
・    「白が白になる」
一般に、黒・グレー・白といった無彩色のものは、ほんのわずかでも色が加わると、明らかに目でみてわかってしまう。無彩色の被写体、とくに白の被写体を完全な白に再現するのはむずかしいものだ。どんなに発色特性がよいフィルムでも、微妙な色は違った色(転んで)に再現されることは、よくある。
色再現を狂わす原因は単純ではなく、その原因は意外と多い。その主なものに、以下のものがある。
1.    照明光がミックス光(色温度が異なる)。例えば、昼光とタングステン光がミックスされた撮影場所。
2.    使用するフィルムと照明の色温度が適合していない。
3.    輝線スペクトルの存在。
4.    レンズのカラーコントリビューション。
5.    露出の過不足。
6.    相反則不軌の現象。
7.    フィルムの銘柄による特有の発色特性。
8.    現像の変動。
9.    増感、減感による発色の片寄り。
10.    フィルムのロット毎の発色特性。
11.    蛍光塗料を含んだ物質に紫外線があたったときに発生する変則反射。
  おおまかに、あげただけでも多くの要因がある。しかも、たいていの場合は、これらの要因がいくつも複雑にからみあい、色再現を狂わす。
正確な色再現を要求するなら、実際の撮影ではこれらの要因を全部完全に防ぎ、一つ一つクリアしていかなければならない。たいへんだ。でも頑張ろう。

・    「写真色校正」
写真色校正には、文字校正と違い、決められた用語がない。そのために、「指示」によって誤解・解釈の違いが多々ある。指示は簡潔に、具体的でわかりやすいことが肝要である。
具体的に欠け、人によって解釈が異なる用語は避けなければならない。また、カラー校正では入校時の指示と、要再校時の指示が食い違ったなんて、ルール違反である。
次に、色の判定をする場所も大事であり、ライトボックス(イルミネーター)等の道具にも気を使いたい。
以下に、その用語例をまとめた。
☆    わかりやすい用語例
色を強く・色をおさえる。
にごりをおさえる(反対色のキレを良くする)
にごす(反対色のキレを悪く)
鮮やかに
明るく・暗く
コントラストを強く・フラットに
ハイライトをきかす
メリハリを出す・シャープに
色うきをおさえる
☆    わかりにくい用語例
若々しく・雰囲気を出す
古めかしく・都会的な感じに
サイケ調に
季節感を出す
赤く(マゼンタかレッドか不明)
青く(シアンかブルーか不明)
色をしめる・淡く
濃度を上げる・下げる(コントラストと濃度を間違える人が多いため)

・    編集部から
「軽オフセット印刷にご注意!!」
いわゆるオフセット印刷の刷版が出来るまでのおおよその工程を以下に示す。
通常の方法
◎    版下→フィルムによるネガ取り→ポジ反転→PS版(金属)これが刷版になる。

一方これに対し、軽オフセット印刷では、
◎    版下→紙の刷版。(特殊な紙に乳剤が塗布されておりこれを処理することで刷版が出来てしまう。)写真は100線前後の網撮りした物を文字と一緒に製版する。
線数の指示をしないで数百部程度の印刷部であれば良心的な印刷所を除き、ほとんどこの方法で印刷されてしまう。PS版をおこすのに比べ、かなり安くできる。これではよい写真印刷が出来るはずがない。
ちなみに印刷可能部数は300〜700部程度である。よくよく考えてみると、学術報告書の印刷部数とオーバーラップしているように思えて仕方がない。
線数を指定しないと、こんな印刷をされている場合が多い。
これでも立派なオフセット印刷なのである。ご用心、ご用心・・・。

・    「UVフィルターとスカイライトフィルター」
カラーフィルム用であるスカイライトフィルターは、カラー撮影、白黒撮影を問わず、ヘイズカットに関しては、全く効果はない。このフィルターは主に、日陰での撮影、曇天の日や遠景画像に見られる余分な青色光を、わずかに減少させるのに使用するものである。また、スカイライトは目に見えない紫外線を吸収する。これに対しUVフィルターは紫外線のみをカットするものである。

・    「写真図版校正時のチェックポイント」
「考古学分野の印刷は楽ですナー」と、言った印刷屋さんがいた。「なんでや」と聞けば、その返答が、「写真図版はアオヤキだけで済むんですわ」である。みなさん、こんなことはないでしょうね?
通常、図版の校正時は以下の事柄をチェックします。
参考までに。
・    天地は間違いないか
・    裏表は間違いないか
・    貼り込みの位置にズレはないか
・    サイズはレイアウト通りか
・    切り抜き方は適切か
・    色や調子・コントラスト・濃度は思い通りか
・    トリミングは指定通りか
・    ケイの処理は適切か
・    指定のスクリーン線でアミ撮りされているか