映写するスライドフィルム

 一度、映写したスライドフィルムがプロジェクターの熱による影響を、どれほど受けているか考えたことがありますか。プロジェクターにもよりますが、通常のスペックは、「映写時間が30秒以内であればフィルムに悪い影響は与えない」です。しかし、研究会や講演会などでの映写時間が30秒以内で済むことはめったにありません。
対処法としては映写用と保存用を分けることしかないのです。露出を変えて撮影した結果、「一枚しかいいのがなかった」あなたはデュープするしか方法がありません。お気の毒です。

・ 大型カメラで長時間露光する場合、フィルムホルダー装填前に、ホルダーの下に当たる部分を数回たたく。
フィルムが下に落ちてフィルムブレが防止できる。

・ サブ・カメラは必要か

 あったり前じゃん。そのために35mmやブローニーサイズがあるんじゃないですか。4×5“が主であれば6×9〜6×4.5がサブで、6×7が主であれば35mmがサブでいいんだ。写真には予期せぬ撮影時のトラブルはもちろん、処理段階でのトラブルもつきまとうんだ。できる限りの手当てをしておくのが当事者としては当然なのだ。4×5”の「でき」がよかったらサブカメラのフィルムは現像せずに、廃棄してもよいのだ。「トラブッた」ことを思えは安いもんだ。

・ バウンスライト

 ライトを直接当てるのではなく、白板等に一度反射させてから当てるライトを言う。結果的に面光源となり、影のきつくないソフトなライティングができる。

・ 印刷の仕様書には、白黒でも「写真図版の校正」を

 原稿や図版の校正は「まめ」にやっているくせに写真図版の校正をやったことのない人がたくさんいます。印刷屋さんからくる「青焼き」の校正刷りは文字校正と天地、裏焼きの判別くらいにしか役立ちません。まともな印刷屋さんは「言われなくても校正はするもの」なのですが、あなたの所へ出入りしている印刷屋さんはそうではないようです。
 本が仕上がってから文句をいってもすでに遅し。写真校正は必ずしなくっちゃ。 

・ 印刷の方が綺麗

 入校したプリントよりも印刷した方が綺麗だった。そんな経験を持っている人がたくさんいます。そんな馬鹿なことがあるでしょうか。
 「印刷」はオリジナルをもとにして、製版の段階で分解や複写をするのです。それぞれの段階で「ひどいオリジナル」についてのみ「救済」をします。印刷はオリジナルに忠実に仕上げる努力をするだけなのです。「渡したら写真がひどかった」から「救済」してもらったのです。

・ 『まめ』に写真を撮るのは避けよう

 全ての調査関係者に該当するわけではないが、あっちからも、こっちからも、上からも下からも「まめ」に写真を撮っている人ほど、「中途半端で使える写真がない」との嘆きが聞こえてきます。何故でしょう。「主題」がはっきりしないからです。調査に自信がないのか証拠としてばかり写真を考え、「わかる・わからせよう」が頭にないからではないでしょうか。
 気軽なため、その都度、一枚一味の写真に配慮する余裕がないのです。清掃が雑になったり、いたるところの発掘機材を写し込んだりして、いわゆる「スナップ」なんです。すなわちスナップだけは上手なんです。
 清掃が終わったところだけを写すために撮影範囲が狭くなったり、発掘機材を写し込みたくないために調査区周辺をカットしてしまう。周辺の状況などわかるはずもないのです。写真に「偶然」を期待してはいけません。
 いい訳をしなければならない写真は「遺跡写真」ではなのです。例えば、古墳時代後期と弥生時代中期の面を一緒に「全景」として撮影したとしましょう。
つけるタイトルはなんですか?「遺跡(調査区)全景」とつけますか?それ以外のタイトルは考えられません。
 「・・・調査区(遺跡)・・・時代全景」でなければならないのです。そうなっていないから、ここであなたが得意とする『言い訳』が必要になるんです。考古学の写真に限らず記録写真には「無題」はありえません。これから「言い訳をせずに済む写真」を心がけましょう。

・ ライトを直接当てるのではなく、ライトと対象物の間にトレーシングペーパーあるいは、ディフューザーフィルム等をおいて光を柔らかくする。ライトから距離を離すほど柔らかい光になる。遺物のライティングでは、特殊な場合を除いて、大方はこの方法か、バウンスライトを用いる。
(ちょっとご注意!)

TRY-X
 トライXにはISO感度320のTXPと、400のTXがある。同じトライでも感度が違うので使用に際しては注意が必要。