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未使用フィルムの保管
日時: 2004/07/26 10:03
名前: 研究会事務局

研究会宛に某会員から質問がありましたので転載いたします。

本年度会誌一口メモについて

冷蔵保管していない場合、夏を越したフィルムを使うのはやめましょう。
のくだりで

「小生、今まで使用期限を見て2〜3年先の期限があるなるべく新鮮なフィルムをまとめ買いしていました。
生ものだからなるべく新しいものを購入していたのですが、冷蔵はしていません。
ポジ・ネガ・モノクロに寄っても違うとは思いますが、この根拠をもう少し詳しく
データとともに知らせていただければありがたく思います。」
メンテ

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Re: 未使用フィルムの保管 ( No.1 )
日時: 2004/07/26 10:04
名前: 井本昭

一口メモの「冷蔵保管していない場合、夏を越したフィルムを使うのはやめましょ
う。」の表現は、少し極端であると思います。
冷蔵保存について、研究会HPのFAQ「未撮影フィルムの保管」に答えたことがありま
す。
以下は、FAQで回答したものに加筆と修正をしたものです。


未使用、使用済みとも感光材料(フィルムやペーパー)は、湿気や有害ガスのない冷
暗所での保存が理想です。
その理由は、フィルムやペーパーには乳剤と呼ばれて、感光性のあるハロゲン化銀の
結晶をゼラチンと混合させて塗られているからです。
高温高湿では、ゼラチンが軟化するとともに、ハロゲン化銀の変質が起こりやすくな
り、感度低下、カブリ、カラーバランスの変化などが発生します。また有害ガスも同
様の作用を与えます。

冷暗所という点では、冷蔵庫が望ましいのですが、湿度という落とし穴があります。
一般の冷蔵庫はカビが発生することからも、意外と湿度が高い場合が多いのです。
もし、冷蔵庫に保存しておいたフィルムやペーパーの紙箱が、湿度を吸収して柔らか
くなっている状態ですと、湿度で感光材料がダメになることがあります。
このような状態では一部使用して、開封したフィルムやペーパーは重なった状態で張
りついてしまいます。
未使用のフィルムでも、アルミ箔にピンホール、あるいは接合部に隙間があると、湿
気が進入する事があります。
湿気の影響によりカラーフィルムでは、乳剤表面のフィルター層やベースの着色染料
の一部が溶けて、現像すると色ムラが発生します。ペーパーでは表面が波をうった状
態になって平面性が悪くなります。
カラーペーパーでは湿気の影響を受けた部分と、そうでない部分とではカラーバラン
スまで違ってきます。

このような湿気の多い冷蔵庫よりも、空調されたされた室内で熱や強い光の当たらな
い場所に保管することを勧めます。

湿気が大敵ですので、ドライキャビネットに保管するのも良い方法です。夜間など時
間外に空調が切れても、ドライキャビネットは湿度を一定に保ちます。
理想的な方法は、プレハブの大型冷蔵庫を用意し、その中にドライキャビネット設置
し、フィルムやペーパーをドライキャビネットに入れることです。ドライキャビネッ
トは湿度を一定に保ちますが、温度はコントロールできず、冷蔵庫はその逆の働きし
かしないからです。

湿気の多い冷蔵庫に保管するのであれば、湿気が入らない容器にフィルムやペーパー
を入れて、密閉する必要があります。
もしフリザーのスペースに余裕があれば、そこにフィルムやペーパーを保管するのが
最良です。
氷点下ですので、湿気は霜となって進入しません。一番変質しにくい保管方法です
が、使用する数時間前に取り出して、室温でシーズニングする必要があります。この
場合は一部使用した開封済みのものでも大丈夫です。

フィルムとペーパーは保管場所としては同一で問題ありません。
感光材料の保管では、冷暗所に加えて、薬品とは完全に分けた場所で保管することで
す。
薬品の臭いが漂う場所に、保管してはいけません。
暗室内にフィルムやペーパーを保管しているのをよく見かけますが、カブリが発生し
やすくなります。

誤った認識の一つに、冷蔵庫に保管すると有効期限を過ぎても大丈夫というものがあ
ります。
湿気や有害ガスのない冷暗所での保存により、変質を最小限にすることができます。
フィルムやペーパーの劣化には、保存方法で解消できないものがあります。
それは非常に短い波長の電磁波である宇宙線によるカブリです。絶えず微量の宇宙線
がどんな物質も透過して照射されています。
フィルムやペーパーは、コンクリートや金属も透過する宇宙線の照射に曝されて感光
します。非常に微量な宇宙線ですが、長い年月で徐々にカブリが蓄積されていきま
す。この宇宙線によるカブリは、どんな保存法でも防ぐ方法はありません。
従って有効期限を過ぎたフィルムやペーパーを、重要な文化財の写真記録に用いるこ
とはやめましょう。
メンテ
Re: 未使用フィルムの保管 ( No.2 )
日時: 2004/07/26 10:05
名前: CHOKU

まず、一般論を言ったまでのことであり、データがどうのこうのという問題ではありません。

使用期限内でも夏の暑い日差しに長時間さらしたフィルムでは、まともな色は出ません。

熱で三つの乳剤層が別々な変化をするため、まともな色が出ないのです。

また、感度の低下は必ず。おきます。

アマチュア用フィルムはプロ用に比べると使用期限が長めに設定してあります。

プロ用フィルムにはだいたい保存条件が、書いてあります。最低その保存条件より

低めの設定で保存すればいいでしょう。

結局色にシビアーなプロ用は色が変わる前に早く使ってしまおうと言うことです。

私の経験からかなり低めの設定で保存してあるフィルムは使用期限が過ぎても

まともな発色をしています。

『フィルム・印画紙ハンドブック』写真工業 s54.11.15

ちょっと古い本ですが、詳しくのっています。

又は、コダックinformation from kodak TSC0055 という小冊子にも詳しく載っています。
メンテ

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