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ネオパンSSの本当の感度は
日時: 2004/02/17 13:29
名前: こぶん

先日、ぎゅうさんと話をしていましたら「35mmネオパンSSの感度は160か200位あるらしいぞ、聞いてみたら」といわれました。それは本当でしょうか?今でも100だとばかり思って使っているのですが。
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Re: ネオパンSSの本当の感度は ( No.1 )
日時: 2004/02/17 16:03
名前:

詳しいことはIさんに任せるとして、白黒フィルムの実際の感度は現像処理によって変化するので、現像を固定しないと(どんな現像液でどうやって現像するか)感度は決められないと思います。
あと、SSは長い製品の歴史の中で、感度の定義との関わりでやや特殊な経過を辿ったフィルムであるということを聞いた覚えがあります。ただ、それはメーカーとしての考え方によるものというお話でしたから、第三者がとやかく言うべきものではないかも知れません。
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Re: ネオパンSSの本当の感度は ( No.2 )
日時: 2004/02/17 16:56
名前: ぎゅう

ネオパンSSの感度は現在もISO100と明記されています。モノクロフイルムは一般的に様々な現像剤や現像条件で処理されます。どう使われ、どう処理されるか不透明なのです。“決まったもの”はないのです。そこで安定した性能を求め、余裕をもたせるためにややオーバー側、すなわち160のものを100に感度設定し、表示してあるようです。
SSはむかし昔、何度か使った事がありますが、当時200で使っていたような記憶があります。(師匠がそうしていたから、単にまねをしただけですが)
SSは「少々、露出を間違えてもええんや」という神話はどうもこのあたりのことがあるようです。「濃度はのっても硬くなりにくい」のもSSの特徴のようです。
最近のアクロスやT-MAXのような現像速度が遅いフイルムが主流になりつつある現状では、ネオパンSSを使われている方々は実効感度を160や200として、撮影された方が無難なようです。ぜひ、比較されてみてはいかがでしょうか。
プリントする人間にとっては、濃度がのり過ぎているネガは“やきにくくていや”になります。印画紙のロスも格段に増えます。
これとは別に、ISO感度(フジではEL)の設定時のなんかや、メーカーの歴史的ないきさつもあるようです。
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Re: ネオパンSSの本当の感度は ( No.3 )
日時: 2004/02/17 17:41
名前: 井本

ネオパンSSの感度が高いのは本当です。
このことは、私が昨年(2003年7月)の研究会の研究発表で、「最近の白黒フィルムと現像液」の中で私が話をしました。
この理由は、フィルム感度表示の測定と表示の規格の歴史に関わることです。そのため、これをお話しすると、歳がばれるのでお話ししたくないのです。
ぎゅうさん、よけいなことしないで下さい・・・・冗談です。

現在フィルムの感度は、どのメーカーもISO規格に準拠して表示しています。このようにISO規格で感度表示をするようになったのは1980年代になってからのことです。

それ以前はコダックのフィルムでは、ASA(アサまたはエーエスエーと呼ばれていました)というアメリカの工業規格で表示されていました。国産のフィルムではJIS(ジス 日本工業規格)とASAとの併記が行われていました。このASA規格によるフィルムの感度測定と表示の規準は、そのままISO規格に引き継がれました。

今でも年配の方がフィルム感度をアサ100というように表現される方がいます。また古いカメラや露光計では、感度設定部分にASAの表示がされています。同じ規準がISOに引き継がれましたので、ASA100は、ISO100となり感度自体は変わりませんので、古いカメラや露光計も、それ自体の精度が保たれていれば使えます。また白黒フィルの感度測定法はJISもASAもほとんど同じでした。そのため国産フィルムは、JIS100・ASA100と併記されていました。

以上がISOに統合される前のASAとJISの表示の状態です。

今度はさらに古く、白黒フィルムのASAの感度測定と表示規格の変遷です。ASAは、1960年に白黒フィルムの感度測定法と表示の規格を変更しました。この変更により、それ以前の感度表示にたいして、感度表示が2倍に変更されたのです。1960年以前から作られてきたASA100の白黒フィルムは、新しいASA規格の制定後、ASA200と表示されて販売されました。その1960年の白黒フィルムについてのASA規格が、ISO規格に引き継がれています。

ただし1960年のASA規格の変更は、白黒フィルムに限定したものです。カラーネガ、カラーリバーサルなどフィルムの種類よって、感度測定の基準が設けられています。2倍感度表示となったのは白黒フィルムのみです。

1960年以前から作られ、現存しているフィルムはだいぶ少なくなりました。その中にネオパンSS、400 Tri-X、125 Plus-Xがあります。
ネオパンSSは1952年の発売、400 Tri-Xが1953年の発売、125Plus-Xは、正確に分かりませんが戦前にまでさかのぼります。この3種類のフィルムの1960年以前の感度表示は、ネオパンSSは100、Tri-Xは200、Plus-Xは64でした。

ここでネオパンSSのみが、1960年以前と現在とで、同じ数値の感度表示となっています。上記3種類は、細部の変更はあったと思いますが、同じ特性のフィルムとして作られ続けてきています。これがネオパンSSの感度が200あるという理由なのです。
実際に得られた特性曲線からも、感度200として撮影しても問題ありません。

なぜASAの白黒フィルムの感度表示が2倍になったのか?
なぜネオパンSSは感度表示を変更しなかったのか?
白黒フィルムの感度とは何なのか?

これらについて、疑問を持たれると思います。この夏の埋文写真研究15号に、特性曲線の解説をし、ネオパンSS、125 Plus-Xの特性を紹介する予定でおります。
その中で、白黒のフィルムの感度をどう理解するか解説する予定です。
このFAQで、それらを分かりやすく伝えるが難しいため、これにてお役ご免とさせて下さい。
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Re: ネオパンSSの本当の感度は ( No.4 )
日時: 2004/02/18 08:44
名前:

井本さんの歯切れの良い解説で、概ね解決したと思います。

夏の研究会誌に向けて予習がしたい!という方は以下のサイトの解説が参考になるのではないでしょうか。

http://members.jcom.home.ne.jp/camera/tokuseikyokusen/toku1.htm
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