【はじめに】
― 文化財写真を将来の活用に資するために ― 研究会白黒写真部会
埋蔵文化財の調査は、報告書の刊行が最終目的ではありません。その目的は、
本来保存すべき遺跡を発掘調査という方法で記録に残し、さらに適切に保存して将来の活用に資すること
にあります。つまり、すぐれた埋蔵文化財の調査はすぐれた記録を行なうとともに、その記録を将来に残すことも視野に入れなければなりません。
 そのため埋蔵文化財写真技術研究会は、長期保存の手段として歴史的にも有効性が証明されている銀塩白黒写真を中核にして、その技術の向上と継続が重要との 認識に立っています。
 しかしながら白黒写真の長期保存は、適切な現像処理がなされていなければ実現できません。現像処理の中でも、特に定着処理と水洗処理が長期保存の成否を左右します。

▲「名古屋市昭和区若宮瓦窯跡」(昭和8年)
名古屋市博物館 提供
 ところが、フィルムやプリントが適切に現像処理されているか否かは、そのフィルムやプリントを見ただけではわかりません。長い時間を経た後にそれが不適切な処理であったと判明しても、すでに手遅れという事態になります。適切な現像処理が伴わない白黒写真には、長期保存を語る資格はないということになります。

 埋蔵文化財写真技術研究会では2005年に白黒写真専門部会を発足させ、白黒フィルムの処理の判定方法や、適切ではない場合の対処方法について検討を続けています。


ページ内インデックス
長期保存可否判定定着不良例(pdfファイル)判定方法フィルム再水洗法
白黒写真部会 連絡先白黒写真保存掲示板